2019年1月17日木曜日

接着について 190110-17 for Xio Yang

ほとんどの素材にくっつかない非粘着性が特性のシリコーンもガラスには良くくっつく。
というのはガラスが珪砂(シリカ)からできてるから相性がよいのだろう。
釉薬も珪砂によるガラス質だから良くくっつくでしょう。水族館のアクリルガラスにも威力を発揮してるしね。
ただシリコーンゴムは引裂き、引張強度もないからどういった構造で接着するかが問題かな。


190113-18:23
エポキシは5分硬化より30分硬化、24時間硬化の方が耐久性があります。しかしこの硬化時間とは手にべとつかなくなる時間で、その後も化学変化は続きます。
有機の素材(接着剤)はずっと変化し続けるのですね。そのため5年~10年とたつと保存環境や構造にもよりますが可塑性が抜けて衝撃により簡単に取れてしまったりもします。
友人の焼き締めパーツを大量にエポキシで接着した見事な作品は数年後バラバラに崩壊してしまったのを見ました。
ゴム系のG-17とエポキシを併用したりすると互いの欠点を補ったりできます。
この考えは木(有機)と陶器(無機)とか金属と陶器とか他素材間での接着に応用できます。しかし、しょせん接着剤は有機の世界なので、完璧な接着剤というのはないというのが私の経験で導かれた答えです。

それではどうするのか。

有機の接着剤による化学接合と、ボルト締め、ネジ留めなどの機械接合を併用する、というのが今の僕が考える最適な方法です。
無機の段階で接合する(陶器の生地段階でのヌタ付けは接着剤など及びません)、あるいは接合を考えた生地の作り方にして焼成し負荷がかからない状態で接着剤と併用するなど。


190117-19:56
以下は補足です。参考までに。


木のパネルに陶器を接着することは簡単なようで、難しいのです。
素材の異なるものどうしを接着するのは結構、奥が深い世界です。

陶磁器どうしの接着にはエポキシ系接着剤が一般的です。

接着の基本は、あまり厚く塗布しないことです。

■低温焼成陶器と木の接着例
貯金箱などに使われてる1000℃くらいで焼成する低温陶器、白雲(dolomite)の場合、釉薬のかかってない部分は多孔質なので、ウレタンニスなどで塗装された木に接着する場合は木工ボンド(酢酸ビニール系樹脂接着剤)にG-17などのゴム系接着剤を混ぜて工場では使用してました。この方法は、あまり大きなもの、大きく負荷がかかるものには適切ではありませんが、小さなものなら大丈夫です。
低温陶器の無釉部分は吸水性がある多孔質で木も多孔質です。木工ボンド(酢酸ビニール)は多孔質の生地に滲み込んで入り込むことから強い接着力が得られます。
ただ、多孔質であるということは呼吸をしてるということで木も多少伸縮します。この伸縮についていけないと接着が取れるということになります。
この伸縮に対応させるためゴム系の接着剤を併用するということです。
1250~1300℃で焼成された磁器化しているものにはこの方法は適しません。

■陶磁器と木の接着をエポキシ系接着剤で接着した場合の問題点
上記のことにも関連しますが接着が取れる原因は、陶磁器のように無機質になっていない有機物(木や樹脂接着剤)が空気中の温度、湿度で呼吸しているため目に見えない部分で変形していることです。
この変形に樹脂である接着剤が対応できない場合、接着が取れるのですが、エポキシの場合、硬化時にも収縮します。
5分硬化型が30分硬化、24時間硬化より耐久性がないのは早く硬化させるため収縮が大きいのかもしれません。(硬化時間は作業性からの需要で商品化されてるのです。)
接着面の伸縮、接着剤自体の収縮、樹脂の可塑性が越年劣化、などが重なって、接着とれがおこるのでしょう。
しかしこの取れる状態になるのはどのような環境で飾られてるか、保管されてるかによって、2-3年の場合もあるし、10年くらい大丈夫の場合もあります。

■ゴム質の利点(一液型RTVゴム)
上記の問題を緩和するのに、接着面の変形などに対応できるのが伸縮性、弾性のあるゴム質の接着剤などです。
シリコーンコーキング(一液型RTVゴム)もゴム質ですが、耐熱性・耐寒性、耐衝撃性、耐候性(耐紫外線性、耐オゾン性、耐水性)などに優れているため、屋外で長期間風雨にさらされてもほとんど劣化しません。
ガラス、釉薬、磁器化した無釉の部分などはシリコンが露出してるのでより密着性はあると思います。

ラッカー塗装した板にシリコーンコーキングを塗ったことがありますが固着は良好でした。(陶器を接着したわけではありません)

■ゴム系接着剤の注意
あまり厚塗りすると接着効果が失われます。
タイヤのパンクなどに使われる黄色いG-17などは塗布してからすぐ貼り合わせるのでなく、5分くらい置いて表面がべとつかない状態になってから強い力で圧着すると強い接着力があられます。厚く塗って、すぐに張り合わせると接着剤がいつまでもべたべたした状態で、強い接着力は得られません。

シリコーンのコーキングも全く空気が触れない状態の接着に使われるといつまでも硬化しないことがあります。一液型シリコーンは空気中にさらすことによって空気中の湿気で硬化反応がおこるからです。

■板の塗装
板の塗装は表だけだと裏は樹脂塗料でおおわれてないので空気中の湿気などを吸ったりで反ったり変形が起こります。
裏表側面など全面塗装すると変形は少なくなります。

■建築用両面テープ
接着剤の特性とゴム質の利点を併せ持ったものに建築用(屋外用)両面テープがあります。両面テープ自体がゴム質のように伸縮性に対応できるからです。
ただ、接着面が凸凹していない金属板などのようなフラットである場合に威力を発揮しますが、凸凹がある面には少し難しいかもしれません。

■化学的接合(接着剤)+機械的接合(針金で縛るなど)の併用
小さな作品では必要ないかもしれませんが、陶壁などの大きな作品を壁面に固定する場合は生地の裏側に針金を結んだり、ボルトを埋め込める穴などを作り、溝を掘って接着が効果的に行われるよう作ることが必要です。