焼けつくアスファルトに覆い尽くされた大阪街中の実家。
母曰く。
旧盆入りの日、こんなところにいるはずの無い精霊蝗虫が玄関にはいってきた。
「お父さんがバッタになってお盆に帰ってきた」
と手を差し伸べるとちょこんと手に飛び乗った。
「ちっとも逃げず、ずっと手に停まっていたあれはお父さんやな」
初盆の法要で坊さん曰く。
「人はみな成仏した時点でずっとここにいたはります。お墓に行ったり、家の仏壇に帰ってきたりするのではなく、ずっと私たちのそばにいて見守ってくれてはるんです。」
玄関に 精霊かりて 父還る
人は信じたいように現実を見る。信仰とファンタジー。
それにしても茹だるを通り越して焼けつく鉄板の上にいるような40℃ちかいここ数日。
5時に起きて墓参り。
線香に火を点けるための紙を燃やすと、火種の点がLEDの点滅回路のように激しい動きを見せる。
そして紙は灰も残さず、跡形もなく一瞬で燃えきってしまった。
2013年8月12日 6:30
場所: 大阪市田辺