2015年4月4日土曜日

150404 【HIROSHIMA NOTES Ⅳ】



ピロティで雨やどり

訃報はいつも突然訪れる。
叔母の骨を拾った後、花曇の夕暮れは、やがてポツリポツリと花散らしの雨にかわり皆既月蝕の月を隠す。
保存調査で全面足場で囲われ、正面はメッシュパネルで覆われた広島産業奨励館(原爆ドーム)偶然にも建設百年目前夜。雨はよりいっそう激しさを増し、雷鳴とどろきながら何度も何度も落ちるピカッが延命処置中の身体のようなドームのシルエットをはっきりと浮かび上がらせる。
こんな時、丹下健三の大きなピロティはありがたい。過去三度、訪れていて今回初めて意識するピロティ列柱の形状。慰霊碑の埴輪屋根形状と呼応する曲面。雨やどりをしなかったら、こんなに曲面を多用した柱で平和記念資料館が支えられていたことに気づかなかっただろう。
雷雨の中、燃え続ける灯火。
叔母を送った広島の夜。

ー 場所: 広島平和記念資料館 / Hiroshima Peace Memorial Museum









fb:春日井 未琴 >
ピロティを抜けると緩やかに下り原爆ドームが慰霊碑の中に納まるという広場の設計。サンピエトロの影響だそうです。知らず知らずそこを通る人々を祈りの中心に引き寄せる。素敵な設計です。
2015年4月6日 14:25 

fb:橋本 公成 >
なるほどサンピエトロですか。緩やかな傾斜、平和の灯~慰霊碑あたりが水溜り激しくピロティに近づくにつれ水たまりがなくなっていくことで実感しました。中島地区全体の広い全体計画のなかで微妙な高低差がそこかしこに仕組まれているんですね。
2015年4月6日 16:07


中央棟を支える四隅の柱はフィンランド建築家、アルヴァ・アアルトの花瓶のような曲面を連想させる。アアルトの花瓶が湖の形からインスピレーションを得たとされるのに対し、丹下の柱は構造的な理由と日本的エンタシスから導かれたように推測できる。



iittala 製アルヴァ・アアルト花瓶
http://www.scope.ne.jp/iittala/alvar_aalto/



保存調査で全面足場で囲われ、正面はメッシュパネルで覆われた広島産業奨励館(原爆ドーム)偶然にも建設百年目の前夜。






20数年ぶりの広島。路面電車はヨーロッパ風のトラムに。
















橋本 公成  2015年4月4日 19:40