2018年4月29日日曜日

くらもちふさこの輪郭線

朝ドラは見ていないが『いつもポケットにショパン』が登場していると聞き、佐藤健がきしんちゃんに見えてくる。

81年7月まで別マを買っていた連載中。思春期を卒業していなかった僕は、一般的に思春期と呼ばれる時期に、その感性に向き合っていなかったのではないかと画中の細やかな感情の機微の表現に涙した。いや、そもそも思春期というのはそういった感情の細やかな機微に思いをはせる時が続く限り卒業などできないものかもしれぬ。不可逆的な時に対する切なさのことを指すのかもしれぬ。

ストーリーもさることながら、くらもちふさこ先生の輪郭ペン線は北斎漫画に通じる抑揚のきいた線でボリュームを表し山水画につながる筆画の線の伝統を見、他の少女漫画家にない無駄のない線に魅せられたのである。
当時、セピアインクとペンでロココ調の女性像の具象的構想画を描くことをしいられていたのだけれど、どうも上手く描けない。そこで彼女のその線を分析した。
筆圧によるペンで描かれた抑揚のある線は力を入れたところにインク溜りができて力を入れてないところと一本のつながった線でありながら濃度差が著しい。そこで、面相筆でたまったインクを吸い取りながら描くことにした。くらもちふさこの『いつもポケットにショパン』を参考にしながら。


#くらもちふさこ