2019年11月11日月曜日

久米の岩橋

大納言朝光:
下らうに侍りける時、女のもとにしのびてまかりて、暁にかへらじといひければ

小大君:
いわはしのよるのちぎりもたえぬべしあくるわびしきかつらぎの神

<岩橋の、夜の契りも絶えぬべし、明くるわびしき葛城の神 /拾遺和歌集 1201>




佐竹本三十六歌仙絵巻→小大君のうた→葛城の神(一言主神)と役行者 
からの、「久米の岩橋」
役行者(えんノぎょうじゃ)よりの、葛城山から吉野金峰山への橋を架ける工事依頼を、醜い姿が恥ずかしいから夜しか働かないと断ったため谷底に閉じ込められた葛城の神、一言主神(ひとことぬしノかみ)
この「久米の岩橋」物語を知らねば小大君のうたも佐竹本三十六歌仙絵巻もあじわえない。
現代の美術も、古典も深くあじわおうとすれば勉強が必要ですね。




古事記(712年)では幼武尊(わかたけるノみこと=雄略天皇)より優位に記述されていた葛城の一言主神は、日本書紀(720年)では対等になり、続日本紀(797年)では天皇の怒りにふれる記述へと変化する。
それにしても葛城山から奈良盆地をまたいで大峰山脈まで橋を架けるというビックプロジェクトが実現していたらヤマト文明もエジプト文明に匹敵した大文明だったか?
いや、このひらがなの「情」の深さこそが大和文明の本髄かも。

河内名所図会 6巻[2]25コマ目に工事が中断した久米の岩橋の図があります。
以下の国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧可能です。


河内名所図会 6巻(国立国会図書館デジタルコレクション)
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2563472?tocOpened=1



参考、引用元
岩橋山 wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A9%E6%A9%8B%E5%B1%B1

小大君千人万首
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/kodai.html

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New project of "佐竹本三十六歌仙絵巻"
2019年2月16日
https://pavlovsdogxschrodingerscat.blogspot.com/2019/02/new-project-of.html