4年前、「2018年問題」と関係があるかないかは別として、鳴り物入りで大学が始めたという全コース対象の選択実技科目は打ち切りになり、前期後期の通年が「今季限りで」とあっさりいきなりの通達で、うん???と思った後期初めの研究室での出来事であるが、学内でも受講生を増やしていて独自の立ち位置(?)のイラストコースでの実技は変わらず継続された。
ちょうどその頃、視覚伝達デザインコース(今はグラフィックデザインコースに改名されている)での最後の立体表現授業をやっていたところに前年、同コースで受け持った一人の学生が卒展のアドバイスと教授を求めてやってきた。内容を聞くと、かなり本格的な立体造形的なプランである。視覚伝達デザインコースの学生にとっては授業で行ったことをはるかに超える、もうひと講座、半期あらたにやるつもりで取り組まなければならないような造形である。そして、その学生は立体コースではなく、の学生である。企業の中でクリエィティブディレクターでもあった自分の業務を振り返ればディレクターでもあるデザイナーは必ずしも自身で造形までしなくてもよい立場である。視覚伝達デザインコースとはそういった人材を養成するコースであると考えている。デザイナーは下請けのオペレーターではなく、実際企業に入ってみればそういった業務にほとんど時間が割かれるが、プロジェクトの始めから終わりまでを取り仕切る立場でなくてはならぬ。
自分はフリーランスで卒展担当も受け持っていないということを説明し、かなり大変なことをするのに耐えれるかの覚悟を確認して、担当先生の許可があればという条件付きでならという返事をしたのである。
その年に限らず、卒展時期になると毎年、シリコンや樹脂素材についてのアドバイスを求めてくる学生が一人二人いて、卒展担当という立場でないが快く引き受けたものである。しかし、こういった自由なフリーランスの態度は、組織にとって厄介な存在かもしれないということは、サラリーマン会社組織の経験の中で理解はしていた。私はやると決めたらとことん付き合うタイプなので、そのことが後々コース中でのコンセンサスとかその他諸々のことで厄介なことが起こるかもしれないということをぼんやりと感じてもいたのだが、学生から見ればフリーランスかどうかにかかわりなく先生は先生なのであり、私にとってのcustomerは大学組織であると同時に学生なのである。
140117 21:00 @NZU |