宇陀 室生寺奥の院より
--------------
隠の(読み)こもりくの精選版 日本国語大辞典 「隠の」の意味・読み・例文・類語こもりく‐の【隠の】枕 (「く」は場所、所の意。両側から山が迫って、これに囲まれたような地形であるところから) 地名「初瀬」にかかる。「はつ」に身が果つの意をふくませて、死者を葬る場所の意をこめている例もあるといわれる。※古事記(712)下・歌謡「許母理久能(コモリクノ) 泊瀬の山の 大峯(おほを)には 幡(はた)張り立て」※万葉(8C後)一・四五「隠口乃(こもりクノ) 泊瀬の山は 真木立つ 荒き山道(やまぢ)を」[語誌]「皇太神宮儀式帳」(八〇四)や「倭姫命世記」(一二七〇‐八五頃)には「許母理国志多備之国」と続いた例があり、「したびの国」に続く枕詞の例となっている。「したびの国」は黄泉(よみ)の国で、死者のおもむく所であるから、「こもる」には身を隠す意で死ぬ、葬るなどを暗示していると見ることが可能である。出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について
------
たのしい万葉集: 初瀬(はつせ)を詠んだ歌初瀬(はつせ)初瀬 撮影(2014.05) by きょう初瀬は、現在の奈良県桜井市初瀬(はせ)~朝倉台西付近を指します。長谷寺があることで有名です。古代、初瀬(泊瀬)は神聖な禊(みそぎ)の場と考えられていました。「隠口(こもりく)の泊瀬(はつせ)」と万葉歌に詠まれているように、山々に囲まれた静かなところです。初瀬(はつせ)を詠んだ歌万葉集には「泊瀬」と書かれています。「隠口(こもりく)の泊瀬」と、枕詞(まくらことば)とともに詠まれている歌も多くあります。
-------------------