2019年5月2日木曜日

190502 宇陀、「隠口(こもりく)の泊瀬(はつせ)」

 

宇陀 室生寺奥の院より




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隠の(読み)こもりくの

精選版 日本国語大辞典 「隠の」の意味・読み・例文・類語
こもりく‐の【隠の】

枕 (「く」は場所、所の意。両側から山が迫って、これに囲まれたような地形であるところから) 地名「初瀬」にかかる。
「はつ」に身が果つの意をふくませて、死者を葬る場所の意をこめている例もあるといわれる。

※古事記(712)下・歌謡「許母理久能(コモリクノ) 泊瀬の山の 大峯(おほを)には 幡(はた)張り立て」
※万葉(8C後)一・四五「隠口乃(こもりクノ) 泊瀬の山は 真木立つ 荒き山道(やまぢ)を」

[語誌]「皇太神宮儀式帳」(八〇四)や「倭姫命世記」(一二七〇‐八五頃)には「許母理国志多備之国」と続いた例があり、「したびの国」に続く枕詞の例となっている。
「したびの国」は黄泉(よみ)の国で、死者のおもむく所であるから、「こもる」には身を隠す意で死ぬ、葬るなどを暗示していると見ることが可能である。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について

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たのしい万葉集: 初瀬(はつせ)を詠んだ歌

初瀬(はつせ)
初瀬 撮影(2014.05) by きょう
初瀬は、現在の奈良県桜井市初瀬(はせ)~朝倉台西付近を指します。長谷寺があることで有名です。古代、初瀬(泊瀬)は神聖な禊(みそぎ)の場と考えられていました。

「隠口(こもりく)の泊瀬(はつせ)」と万葉歌に詠まれているように、山々に囲まれた静かなところです。

初瀬(はつせ)を詠んだ歌
万葉集には「泊瀬」と書かれています。「隠口(こもりく)の泊瀬」と、枕詞(まくらことば)とともに詠まれている歌も多くあります。

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