2012年5月4日金曜日

1200円の机

20mm厚のラワン板の机には59年間、書道教室で使用された痕跡が幾重にもレイヤーとなって染み付き黒光りしている。


この机についての最も古い記憶は、たぶん二歳の頃。
1960年のある土曜日の夜。
這うようにして階段を上ると、教室が終わった二階では、この机を積み上げて父母が楽しげにピンポンをしていた光景。
土曜日はいつも教室の日。

180cmと120cmの長さが二種ある机は、はじめに180cmLのもの4台を大工に発注し作ってもらったという。
その値段は一台1,200円。
当時の大卒初任給が6,000円くらいだった頃の話。
発注したものは脚を天板にネジ留めしてある簡単な構造だったため、机に手をついたりすることで脚がぐらつくようになりL字金具で補強されている。
父は発注品が高価なこともあり、あとの180cmLのもの2台と13cmLのもの3台は構造を改良し、自作した。


今、役目を終えた机を処分する値段は1台1,000円。