今でもその香りを思い出す双葉のウナギの折。
幼少の頃、飲みに行った帰りに父がお土産によく買ってきた。祖母と食べた時の記憶は折の木の香りと合わさったウナギのにおい。記憶は匂いとともによみがえる。
折を開けるとたれのかかったご飯だけ。双葉の並折。ウナギはご飯に埋まっていて中から出てくる。
上折はご飯の上と中に。
中学生の頃、田辺の商店街でウナギを買って、初めて母の誕生日のプレゼントにした。
そして45年後、今年のお祝いは双葉の鰻。
余った長焼きを母の炊いた豆ごはんにのせて。 |
追記---------
双葉は阿倍野筋商店街にあった。チンチン電車の走る阿倍野筋である。
そこは中学に上がって天王寺のYMCAに通ってた頃からの寄り道地帯だった。鉄道模型の雑誌が積み上げられた古本屋、畑正憲氏にサインしていただいた旭屋書店。ステーションビルの写真屋と模型屋などなど。思春期の少年の遊び場だったが、西に入る筋が上町台地の崖に繋がっていてその先が赤線街に繋がるとは当時まったく知らなかった。
阿倍野筋にあった双葉は、商店街再開発でキューズモールビルの地下に移転して営業を続けている。