思い出せない味のこと。
ドライ・アーティチョークのパスタ。
どんな味だったか。
イタメシに目覚めさせてくれた師匠の家でごちそうになったパスタということは思い出すのだが。
インターネットなどなかった頃、その味は忘れ去られ、ドライ・アーティチョークという言葉と食べたという記憶だけが残る。
イタリアから食材を輸入していた人だから輸入したドライアーティチョーク(乾燥アーティチョーク)なるものを食材にしたパスタだったとずっと思っていた。
立ち枯れの朝鮮薊を見て、忘れ去られていたその記憶が蘇る。
今でこそインターネットであらゆる情報は居ながらにして入手可能。
さっそく「ドライアーティチョーク」と打ち込みググルこと数秒。
「ドライアーティチョーク」なる言葉は登場せず、ヒットしたのは「ドライトマトとアーティチョークのパスタ」ばかり。
ドライ・アーティチョークのパスタではなく、ドライトマトとアーティチョークのオイル漬けのパスタだったのだ。
それを知ったとたん、口の中にすっぱい唾がにじみ出る。
なんとなく思い出す味。
10数年ぶりにその謎が解ける。
脳みそが記憶することを優先し、言葉を短縮して更新した。
短縮された言葉によって味覚の記憶がどこかに行ってしまっていたのだ。
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ところでガーデンオーナメントとしてもよく見かけるアーティチョーク。
これはいかにして食するものか。
栽培して初めての年は、拳より大きな、梅雨時に咲く鮮やかな蛍光紫の花5~6個を観賞したため食することはしなかったが、2年目には大量のつぼみがつき花が咲く前に収穫。
ガクは硬そうで食べれそうにない。しかし、はたしてガクをどこまでとればよいのやら。
むいていくうちにどんどん小さくなってゆく。
オリーブオイル、にんにくと鷹の爪で、エビと塩湯でしたアーティチョークをいため、マジョラム、オレガノ、イタリアンパセリで仕上げたパスタ。
野菜の王様というアーティチョークはいったいいかなる味か。
今まで食したことのない特別な味にちがいない。
そう期待を膨らませて食した味は、、
ブロッコリーの茎のようないもっぽい感じ。
15年前、借家の庭が小さな食用ハーブガーデンだった時の話。
1996 5/29 レシピ |