2012年10月31日水曜日

Artficial/Natural   人工と自然

西欧キリスト教世界観では、ヒトは神が創ったところから始まるゆえ、ヒトは自然から分離された存在に立っている。
人工と自然は対峙する関係になる。

一方で、いたるところに神が同居しているこの国ではヒトも自然に含まれる存在である。
ヒトは自然の一部であるから、そのヒトが行う人工的なことは自然なことであるという考えになる。
自然界に存在しないものを創造し、もともとある自然界に影響をあたえることがあっても、
はたまた、生物的自然な状態に人工的に変化を加えることがあっても、
それは自然に含まれているヒトの行うことであるから自然なことなのである。

医師との面談で、老衰が進行する高齢者への胃婁が西欧ではほとんど行われず、点滴による延命処置さえもまれであるという話を聞いた。
高齢者への胃婁がこんなに多く行われているのは日本だけ、とも。

そのことを聞いた時、西欧と日本の世界観、広い意味での宗教観の違いについてが瞬時に頭をめぐった。
西欧で高齢者への人工的な延命処置が一般的でないとするならば
西欧における「自然な死」については、日本語の字義どうりの「自然な死」と異なり、
その根底にはヒトが自然から分離している存在であるという考えがある。

「美しい自然の国」「自然を愛する国民」という言葉の裏にあるこの国の「自然」観についてと、
「自然な死」という事について改めて考える契機になった。

2012/10/15

2012年10月20日土曜日

121020 芋茎

 
芋茎のおひたし




wikiでずいきを調べると興味深い記事に出会った。
なじみの素材、瀬戸の陶器(白雲)の材料のドロマイト土が、口にしても無害という記事。

調理法 乾燥したもの
貯蔵に耐えるので備荒食糧に適する。加藤清正が熊本城の築城(現在の城より改築前に当たる)に際して篭城を予見して、畳の芯になる畳床(本来は藁床を用いる)や珪藻土とベントナイトもしくはドロマイト土(両方とも口にしても無害な土類)を主成分にした土壁にスサ(土壁に補強のために梳きこむつなぎ。本来は藁を用いる)として芋茎を用いた逸話がある(ベントナイトについては水分を吸うと膨らむ性質があるので乾パンの原料にも日中戦争以前より用いられてきた)。近年、災害時の非常食として、干した芋茎の利用が模索されている。


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ずいきのおひたし (2012年8月5日)

干しずいきと干しえび (2012年8月5日)


2012年10月12日金曜日

total recall

病院のソファーに寝ころがり、
iPS細胞の記事を読みながら、
記憶の再生について思索する。

働かなくなった
身体中の筋肉をすべてiPS細胞で再生したとして、
健康な筋肉の臓器に接続されたとして、
<未決>

iPS細胞で再生された筋肉が、
再び老化して、
再び交換できるとして、
そのつど、新たな経験による記憶が
筋肉にリセットされたとして、
<未決>

そして寿命がどんどん伸び、
人口増加が社会問題になり、
そのため人々が交換できる回数を取り決め、
取り決めによる再生回数が寿命になるとすれば、
<未決>

身体のほとんどの部位が再生されたとして、
その人固有の経験としての身体の記憶は、
再生可能か
そもそもその人固有ということが無意味になってしまい、
<未決>

記憶を必要として
写真を集めるレプリカント。

(2012/10/06)

2012年10月10日水曜日

ボーマン船長の視線

キューブリックによる「2001年宇宙の旅」の後半10分のシーン。
白い部屋に着陸したポッド。

宇宙服に身を包んだボーマン船長が
眼をやった視線の先に、
食事をする老いた自身の姿。

その老いた老人が目を向ける視線の先には
ベットに横たわる自身の老いた姿。

そしてベットに横たわったまま、
片手を宙に翳す。

その光景は、デジャヴ。
ベットに横たわる老いた身体を、
見つめるのは自身であるが、

その横たわる姿は、未来の自身の姿。
未来のデジャヴ。


病室にて (2012/10/06)

2012年10月9日火曜日

あたりまえのようであたりまえでないこと

長居公園 植物園を望む


息をする。
水を飲む。
頭を起こす。
寝返りをうつ。
瞼を閉じる。
口を噤む。
立ち上がる。

そんな無意識で、あたりまえのように行っていることが
あたりまえにできなくなること。
意識はあり、脳は命令するのに、筋肉が動かないこと。
生まれたての赤子が無意識に獲得してゆくことを、
意識がありながら喪失してゆくこと。

(2012/10/06)

2012年10月2日火曜日

おちつきのない脳

思考の対象と、
獲得した経験と、
文字言語の範囲内でいつも散歩ばかり。

目的地は見失われる。

こまったことではあるが、
時に良いこともある。