2014年1月27日月曜日

FRPの接合

FRPどうし、あるいは他素材とFRPを機械接合する場合には、FRPに直接、穴を開けてネジ留め(あるいはボルト締め)するとFRPが割れ、接合に不都合がおこります。強度も強くありません。
そのために、接合部分のFRPに金属片を埋め込みFRPと一体化させることで、機械接合する場合の割れを回避します。
グラスファイバーと不飽和ポリエステル樹脂を含浸させ一体化させてできたもの(FRP)に、さらに金属片を一体化させる。
複合素材によりそれぞれの材質の利点を一体化させます。

*作業上の注意
空気が入らないようにファイバーを一体化させる積層はなかなか困難な作業です。
細かい作業なので素手で行っていますが、注意が必要です。
不飽和ポリエステル樹脂は熱硬化性樹脂ということを忘れてはいけません。
熱可塑性樹脂(固体の材料を熱で溶かして型に流し込み常温に冷やして成形する)と異なり、熱硬化性樹脂は主剤に硬化剤を混入すると化学反応により、それ自身が発熱し硬化するものです。つまり硬化する時の樹脂は高温を発しているのです。


そのため、素手で作業を行っていると指先に樹脂が付いたりして低温火傷を負うことになります。
軍手をはめての作業も、布に樹脂や硬化剤が染み込んで低温火傷になることがあるので注意です。
指先の低温火傷は、かなり痛く一晩、眠れなかったことがあります。
手に付着した樹脂や硬化剤は放置せず、頻繁にアセトンなどで拭ったあと、石鹸水で洗い落とすことが必要です。

はみ出したファイバーは完全に硬化する前(ゲル化状態)ならカッターやはさみで容易に切ることができます。

大物の場合は木材に金具を固定し、FRPボディと一体化します。


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小さなプロダクトの部品接合と台座固定の場合です。











粘土原型を石膏で型取りします。
シリコン型でないため、原型を細かく分割して型取りします。



型とりが終わった石膏型からFRPボディを作ります。



FRP ボディの仮ぐみ


部品接続用の鬼目ナットを合板にねじ込んだものをFRPボディと一体化します。





台座支柱に合わせた金具





角材に固定した台座支柱用金具をFRPボディと一体化します。



 内部部品の固定が完成したらふさぎます。






2014年1月17日金曜日

140117 / who is customer ?

「2018年問題」の伏線から5年目になるから来季はないな、と思っていたのだけれどイラストコースでの立体表現実技は来季もあるようで、ただ前期の新入生しょっぱなからの実技ではなく後期からの選択科目になるらしい。



4年前、「2018年問題」と関係があるかないかは別として、鳴り物入りで大学が始めたという全コース対象の選択実技科目は打ち切りになり、前期後期の通年が「今季限りで」とあっさりいきなりの通達で、うん???と思った後期初めの研究室での出来事であるが、学内でも受講生を増やしていて独自の立ち位置(?)のイラストコースでの実技は変わらず継続された。

ちょうどその頃、視覚伝達デザインコース(今はグラフィックデザインコースに改名されている)での最後の立体表現授業をやっていたところに前年、同コースで受け持った一人の学生が卒展のアドバイスと教授を求めてやってきた。内容を聞くと、かなり本格的な立体造形的なプランである。視覚伝達デザインコースの学生にとっては授業で行ったことをはるかに超える、もうひと講座、半期あらたにやるつもりで取り組まなければならないような造形である。そして、その学生は立体コースではなく、の学生である。企業の中でクリエィティブディレクターでもあった自分の業務を振り返ればディレクターでもあるデザイナーは必ずしも自身で造形までしなくてもよい立場である。視覚伝達デザインコースとはそういった人材を養成するコースであると考えている。デザイナーは下請けのオペレーターではなく、実際企業に入ってみればそういった業務にほとんど時間が割かれるが、プロジェクトの始めから終わりまでを取り仕切る立場でなくてはならぬ。
自分はフリーランスで卒展担当も受け持っていないということを説明し、かなり大変なことをするのに耐えれるかの覚悟を確認して、担当先生の許可があればという条件付きでならという返事をしたのである。

その年に限らず、卒展時期になると毎年、シリコンや樹脂素材についてのアドバイスを求めてくる学生が一人二人いて、卒展担当という立場でないが快く引き受けたものである。しかし、こういった自由なフリーランスの態度は、組織にとって厄介な存在かもしれないということは、サラリーマン会社組織の経験の中で理解はしていた。私はやると決めたらとことん付き合うタイプなので、そのことが後々コース中でのコンセンサスとかその他諸々のことで厄介なことが起こるかもしれないということをぼんやりと感じてもいたのだが、学生から見ればフリーランスかどうかにかかわりなく先生は先生なのであり、私にとってのcustomerは大学組織であると同時に学生なのである。


140117  21:00 @NZU





2014年1月13日月曜日

インパラとノンパラ

FRP (Fiber Reinforced Plastic) で一般的に使用される樹脂である不飽和ポリエステル樹脂にはインパラ(パラフィンが入っている物)と、ノンパラ(パラフィンが入っていないノーマルな状態)があります。


インパラ ============
インパラの樹脂にはあらかじめ材料の不飽和ポリエステル樹脂にパラフィンが混入されています。
成型用の不飽和ポリエステル樹脂は、硬化するときに空気中の酸素や水蒸気に触れていると、いつまでも表面がベタ付き硬化時間が長くなります。
そのため、樹脂の硬化反応熱でパラフィンを表面に溶出させて被膜を作り酸素などから遮断してベタ付きなく完全硬化させ、硬化時間を短くしたものがインパラです。
インパラは硬化後表面にパラフィン皮膜が形成されるので、次の工程の樹脂の接着を妨げ剥離の原因にもなります。
数日に分けて積層を行う場合には、硬化した表面をサンディングしパラフィン皮膜を除去した後に積層する必要があります。
冬季、温度が上昇しない場合などは、樹脂表面付近で最低25℃以上の温度に達せず、パラフィン被膜が形成されないので、いつまでたっても積層面がベタベタします。
ストーブなどで環境温度を上げる必要があります。

ノンパラ ============
パラフィンが混入されて無いため表面がベタベタしますが接着力にはすぐれ、サンディングの必要がないため積層用に向いています。数日に分けて積層を行う場合に適しています。
メーカーや業者にあらかじめノンパラと指定して材料を購入する必要があります。



* 不飽和ポリエステル樹脂は熱硬化性樹脂(主剤と硬化剤の化学反応によって樹脂自体が発熱し硬化)です。

2014年1月11日土曜日

2014年1月4日土曜日

記憶の人人~後々田寿徳さんとの時間

訃報

後々田寿徳さんを偲んでウッディ・ヴァスルカ個展(ICC 1998)のカタログ序文を読み返す。








後々田氏との時間。

1993年のふくい国際ビエンナーレの時、福井県立美術館で学芸員だった氏に、当時、バカのように大掛かりな、時にコンデンサーを爆発させるような作品を作っていた厄介な私の作品の設営、メンテ等で大変お世話になった。
クールなメディアアートと対照的な私の作品に、バカだな~といった眼差しでニコニコと手伝っていただいた。
ちなみに、この時の別室ではダムタイプの"S/N"#1がスタイリッシュにインスタレーションされ、設営作業中の合間に存命だった古橋悌二氏が、やはり呆れ顔で私の作品をながめて立ちすくしていたことを思い出す。

1999年のキリンコンテンポラリーアワードのオープニング翌日、受賞者の束芋と板倉亜由子を連れ立って、アポなし飛び込みでICCを訪ね、ランチを一緒に。
状況に悲観的な後々田氏の意見と、福井時代とは異なるかっこいい風貌に変身していた氏が記憶に残る。
この時が氏に会った最期。

リアルでは、ほんの数回、時間的には数時間のことなのだが、忘れられない記憶に残っているひとがいる。


合掌


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梅香堂日記 http://baikado-diary.sblo.jp/
大友良英氏ツイッターより「美術と音楽のあいだ」後々田寿徳氏執筆(リア29号より)
http://hiwihhi.com/otomojamjam/status/419169831166816256
https://twitter.com/otomojamjam/status/419176784236519424/photo/1
https://twitter.com/otomojamjam/status/419177281743884288/photo/1


此花区 梅香堂
http://www.youtube.com/watch?v=fejaAhMooCo#t=152