2016年10月24日月曜日

オオカラモズ JAN 1984 鍋田



「鍋田にオオカラモズが出たから、明日鍋田に撮影に行く」と日比野氏より連絡があり
「ついては、オオカラモズのデコイを作ってくれないか」と言う。

冬の鍋田干拓地は、見晴らしよく、ねずみが豊富だからかコミミズクや猛禽類が多く飛来する。その被写体を目あてに愛鳥家という名の大砲(超望遠レンズ)を抱えたハンターが田んぼのあぜ道に、何台もの4WDが敵陣を囲む戦車のように獲物との間合いを詰める。
その過程で誰かがオオカラモズの飛来を確認したのだろう。
といっても鍋田干拓地は結構広い。そのために、デコイを使っておびき寄せるという作戦らしい。
オオカラモズと言うからには通常のモズよりも大きいのだろうが。
図鑑でだいたいの大きさ(全長約30㎝)と色を教えられ、一晩で作らなければならないから、キブシにするかフォルモ(石塑粘土)にするか迷ったが、彩色まですることを考えて短期間での制作には扱いにくいがフォルモで作ることに。
ストーブで強制乾燥し、徹夜で何とかでっちあげるか、強制乾燥したため薄い尾羽根が垂れて情けない姿。これにはたしてオオカラモズは騙されるだろうか?









オオカラモズの発見場所の情報を得て、竹竿に固定したオオカラモズのデコイを設置し、待つこと数分。
明らかにオオカラモズは意識はしている様子。
デコイが一回り大きかったためか、かなり警戒している。
ホバリングをしながら偵察し、一定距離を保ってまた去ることを繰り返す。


  
追記
一般的に美術作品なりデザインされた商品であれその対象はヒトに向けられている。ところでこのオオカラモズのデコイの鑑賞対象は誰かというと、それはヒトではなくオオカラモズという鳥に向けられている。
奥行きを表現したイリュージョン絵画がヒトの目を欺く装置と考えると、このデコイ(彩色された立体彫塑物)は鳥の目を欺く装置ともいえる。