年始初めての授業は、できあがった型に樹脂を注型する工程。
型の鋳込み口、空気抜き溝等チェックしたら樹脂の準備。どれだけ材料が必要かをまず計算。
→ 原型体積(cc) x 1.7=ジェスモナイト必要量(g) を割り出す。
→ ジェスモナイト必要量からリキッドとパウダーの分量を割り出す。
リキッド:パウダー=1:2.5
→ ダマができないよう素早く混合し、型に鋳込む。
ジェスモナイトは粘度が高い材料なので、小さい鋳込み口、細い鋳込み口の型には鋳込みにくい。無発泡ウレタン(レジンキャスト)の水のような流動性に比べると、石膏やセメントに近い感じです。小さく繊細な部品が多いフィギュアの注型にはちょっと向いていない感じですね。また、ウレタンやポリに比べても樹脂特有の粘り気がない感じで細い部品は折れやすい。
この水性樹脂、何かに似ていると思ったら、リキッドはリキテックスのジェルメディウムのような感じで、パウダーと混ぜたものは同じくリキテックスのモデリングペーストに似ています。水性アクリル樹脂なんだから当然と言えば当然ですが。さすれば、粘度を低くするにはパウダーとリキッドの比率を変えるのではなく、比率はそのままで、水を少量添加することで可能かもしれないですね。硬度、強度に影響があるかもしれないが、水分を蒸発させれば比率的には変わらないのであるから硬度、強度的にも問題ないはず。次回実験の価値ありですね。
もともと大型の造形物用に開発された材料でしょうが、近年ヨーロッパではポリのFRPなどに替わって「環境に配慮した」素材を謳い需要が拡大してるらしい。UKのテートモダンで展示されたカラ ウオーカーの13m高の噴水 参照(1) がこれで作られているという。この作品では「リサイクル、再利用可能な素材で、非毒性のアクリル樹脂、セメント複合体」と紹介されているページもあり、素材自体に政治色が張り付いていると言えなくもない。
参照(1)
コロナ渦の期間中イギリスのテートモダンで展示されたカラ・ウォーカーのフォンス・アメリカナス(カラ ウォーカーによる 2019 年のヒュンダイ コミッションの詳細)
Kara Walker's Fons Americanus
Delve deeper into 2019's Hyundai Commission by Kara Walker
FRP ハンドレイアップによる大きな造形
一般的な大型の造形物は不飽和ポリエステル樹脂が一般的だ。身近なところではバスタブやボートなど大型で軽量かつ強度が必要なもののために開発された材料は、他の技術と同じく元は軍事技術からの転用だ。1930年に救命ボートの実用化がこの技法が広まるきっかけになったという。グラスファイバー+不飽和ポリエステル樹脂による含侵成形=GFRP (Glass Fiber Reinforced Plastics =ガラス繊維強化プラスチック)
CFRP (Carbon Fiber Reinforced Plastics =炭素繊維強化プラスチック)はカーボンファイバー+エポキシ樹脂でF1の車体や飛行機の部品、ゴルフクラブのシャフトなどに使われている。
"Pelvis" 1992,1996 kiminari Hashimoto 「街は今アートで溢れる」1996年 一宮本町商店街での展示 大きさ約4x5x1.5m GFRP |
グラスファイバーにポリを含侵しての積層 |
参考(2)
原爆ドーム 1/100模型の原型とポリレジン(不飽和ポリエステル樹脂+炭酸カルシウム)注型による模型の制作
dome project HIROSHIMA
http://pavlovsdogxschrodingerscat.blogspot.com/2015/11/dome-project-hiroshima.html