2021年11月7日日曜日

「古い3D」と「新しい3D」(その1)



この深田さんの番組、本題のことは置いておいて、話の中に登場する「古い3D」と「新しい3D」の技術的なさわりが分かりやすいです。

https://www.youtube.com/watch?v=MKi_aUQWYZ4


ここで語られているホログラム、3Dは、つまりはディスプレイ技術。
古い技術=両眼視差によるホログラムディスプレイ
新しい技術=ディスプレイをのぞき込む人の視点を検知して内部サブジェクトが追尾対応変化する多視点型ディスプレイ
SONYによる多視点型ディスプレイはセンサーとディスプレイをインテグレイトする3Dディスプレイ技術で、イメージセンサーチップの上にメモリを積層するという新技術を確立。センサーで映像を取り込みながら、そのセンサーの裏にメモリがくっついてるので短期記憶保持などにより、オーディエンスの目の位置(視線)が映像のどこを見ているかが変わっていくのを感知し、見せる映像の角度をちょっとずつ変えてゆく。多視点型ディスプレイが一枚のフラットパネルで実現できるというもの。
この、オーディエンスの視点をセンサーで追尾し、オーディエンスが見ている映像に影響を与えるという技術は、第2回名古屋ビエンナーレ、アーテック91で発表された、  さんの作品にありましたね。



Electric Heart Mother  Version03 (1992) のこと

僕も2台のライブカメラ(SONY Hi-8) と2台のブラウン管 (SHARP 14inchTV) を動かして現実空間に両眼視のホログラム風イメージを合成した大雑把なモデル化を作ってみたけど、30年間放置してる間に、どうしようもない粗大ゴミ化していて何とかしなければと焦る。



ふくいビデオビエンナーレでの展示 (1992)




そもそもこの作品を作ったきっかけは、「絵画の遠近法」「絵画の奥行き」についてというフォーマルなテーマから発展したものだった。そのため、この立体的な構造物は「その大きさが遠近法の影響を受ける大きさでなければならない」というのが始めの取り決めの一つであり、その内部にやはり奥行き(遠近法の消失点に向かう先細りの台形を底面に持つ画箱としてのダイオラマ)が作られた。「内部空間を持つ彫刻」ということも一方でのテーマであって、「絵画(2次元)と彫刻(3次元)両方の次元がオーディエンスの視線上で交差する映像装置でもある。」
<実際のダイオラマを実見するよりも、それがカメラで写真になった時により奥行きを持った深い空間を提示する。>ということを示したのは杉本博司氏のデビュー作?ニューヨーク自然史博物館のジオラマ装置を写した写真作品だったが、




another story
<30年間放置してる間に、どうしようもない粗大ゴミ化していて何とかしなければと焦る。>からの  another story 
 日常の生活スペース以上の大きな作品の場合、発表空間の大きさに合わせて分割して作るため会場での設営時にしか改良や銀杏性ができないという欠点がある。普段の制作スペースがそれ以下である場合、毎朝起きて作品に対峙して問題点を少しづつ調整してゆくといった制作方法に至らない。パーツごとの部品は別々に梱包されたりしていて、ましてや電気の来ていない倉庫にあっては実験さえできない。まあこういうことは作家の言い訳にしかすぎず身から出た錆で、泣き言言うな!と天から叱られるが、組み込んだ機材さえもが前世紀の仕様からアップデートしていないとその部分でも機能させるのが困難なゴミになってしまう。こういったことは制作初めのころにもすでに想像がついていたし家電を素材にした作品を美術コレクターなどは手を付けないという一般的認識もあった。それでも後先考えない若気の至りは「青春美術」の無謀のなせることであり、力技で強引にねじ伏せるといった狂気じみた行為であったのかもしれない。

another story 02
 この作品は、茂登山清文先生に声をかけられた1991年末~1992年年始にかけてのグループ展 cool break へ出品することを決め、91年秋より制作を始めた。勝川のアパートでの制作が限界だったので、年末二つのグループ展出品のため、瀬戸に仕事場を借りたのである。陶芸家中村康平氏が陶壁制作用に借りていた栗木製陶所の一角をシェアさせていただいたのが始まりで、康平さんが金沢に帰る94年頃まで制作場のシェアは続いた。

(つづく)

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