2013年10月25日金曜日

2013年10月15日火曜日

構造的な色

画面の上で色を作るということは絵具としての彩色、塗装とは異なる。
絵具というのは物質の化学変化の状態を時間経過を並列させて共時的に見せるということである。
同一画面で、視られる時に同時間に見せるということ。(シュレディンガーの猫)
視ている時にのみ存在する、作者によって仕組まれた物質の時間的経過の並列。

L'ANNUNCIAZONE   /1984 / Kiminari Hashimoto / 130 x 130 cm / Oil, pigment(Iwaenogu) on rusted aluminium / 


"L'ANNUNCIAZIONE" (1984年制作)では、以下の方法でアルミ地に暗灰色の面を作った。
油性インクマーカーにより図象を描く。あるいはアクリルラッカーによりシルクスクリーンで図象を印刷。
エッチング版画用の塩化第二鉄溶液を塗布。
油性インクマーカーで描かれた部分、あるいはシルクスクリーン印刷以外の部分を腐蝕。
変化の後、アクリルラッカーで印刷された部分をシンナーで洗い落とす。
これは、画面上で色を作るというよりも、反射の異なる面を作るという目的に拠っている。
反射の異なる面を作成したその後に、岩絵具(番目の異なる数種の岩群青)をカシュー(人造漆)に溶きピクセルを描く。

光琳の《紅梅白梅図屏風》の中央部の川に明礬によるマスキングが使用されていることを知ったのは20年以上たって後のことである。




*明礬によるマスキングと硫化という現象を用いて定着された光琳筆《紅梅白梅図屏風》の中央の川

まず川をイメージした面に薄い銀箔を張り、明礬液で流水紋の図柄を描く。その上から硫黄の粉末をかけて3日間寝かせておくと、明礬液で描いた図柄以外のところの銀が硫化されて黒い硫化銀となる。
明礬液をマスキングとして使用し、それ以外の部分を画面上で直接化学変化を起こし色として定着する。その現象を定着する。
(2011/12/19 NHK「極上美の饗宴」と2012/02/05 NHK「日曜美術館」で報告された光琳作《紅梅白梅図屏風》の中央の川についての科学的調査の結果による。)

眼差しのゆくえ

建仁寺の二つの双龍図。
一つは海北友松による障壁画。(建仁寺本坊大方丈障壁画 礼の間「雲龍図」8面)
これは二面が障子でその対角線に二面の襖に描かれている。(重要文化財 京都国立博物館寄託で建仁寺の展示はキャノン「綴」プロジェクトによる)
http://canon.jp/tsuzuri/



南面の縁側から正面と左面の龍を見るとどちらの龍もこちらを見つめている。




また、東面の廊下から正面と右面の同じ龍を見ると、この時も二つの龍はこちらを見ている。
この部屋で修行する僧は、どこからも双龍によって見つめられる。にらまれている。



もう一つの双龍図。
講堂天井に描かれたそれは見上げる私たちに視線を交合わせない。


二つの双龍図の目の描き方が、視る者との眼差しに関係する。
白目の左下に黒目を描かれた龍と、白目の右下に黒目を描かれた龍の二つの龍が配置された海北友松の雲龍図。
白目の左上に黒目を描かれた龍と、白目の右上に黒目を描かれた頭部を近づけて龍が向き合う天井画の双龍図。




>思考の飛躍

言語獲得以前の赤子の視線についての実験報告

言語獲得段階の赤子はモノを指し同時に同意を求めるように人の顔を見る。
この段階で赤子の視覚はまだ完成されていないが、人の顔の目を伺い見ていることが実験で報告された。
顔の中の二つの丸い瞳の動きをピントが合っていない視覚で赤子は追いかけながら他者の同意を得るように言語を獲得する学習を行っている。
ぼんやりした視覚の中で、眼差しの行方とその表情を追うことで、視られることを意識しながら言葉の獲得と認知を学習する。

2013年10月3日木曜日

貫入と釉薬剥離 -dolomite production

dolomite production における貫入と釉薬剥離




低温の陶器は結構難しいプロダクトである。大陸の工場で生産を行った時に何度も経験する貫入や釉薬剥離、シバリング問題。
基本的には生地の熱膨張率と釉薬の熱膨張率があってないことによるが、白雲(ドロマイト)や半磁器は本焼成温度が磁器ほど高くないため(釉薬と生地の融点が近いため)原料調合が難しいのだと思う。磁器などの本焼成が高温のものの方がある意味容易であるのだろう。それが証拠に磁器の方が値段が安かったりするし、工場数も多いのではないか?







冷凍餃子や中国工場で作った製品の品質問題が日本社会をにぎわせた2007年頃、土鍋から鉛問題も起こった。この時、僕が推測したのは、重金属に汚染された陶土や上絵具からの流出とかでなく、生産効率を上げるために鉛を多くした釉薬を使用したのではないかと思ったのである。
はんだ付けで使用する半田が鉛とスズの合金であり、合金にすると融点が下がる。
また鉛の融点は327.5℃、カドミウムの融点も321.1°C。
このことを応用して、生産性を上げようとすれば、釉薬に鉛やカドミを混ぜれば融点が下がり窯効率がよく生産性が上がる。しかし、鉛やカドミウムは人体に有害である。

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【ニトリで買った中国製土鍋から銀色の異物が出てきたのですが、大丈夫?】

質問者:MUD-Water質問日時:2007/05/30 15:22回答数:8件
「ニトリ」が販売した中国製の土鍋(新潟県内の陶磁器業「ホリシン」が輸入)からの「鉛」検出。

問題の土鍋は、電磁誘導加熱(IH)調理器で約三十分加熱したところ、ふたと接する部分から鉛を含んだ液体が流れ出たという。・・・
・・・土鍋を販売していたニトリは自主回収を決めたが、判断はあくまで企業自身に委ねられている。
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我が家にも中国製の土鍋があります。・・・
熱しているうちに、鍋の辺りに、次第に銀色の異物が浮き上がった。・・・

・・・例えば、この中国製土鍋の場合、使用しているうちに、欠けたり、薄くヒビが入ります。そして、「地」が露出します。
中国の土は鉛・カドミウムなどによる汚染が激しく、水質の汚濁も激しく、中国では癌患者が急激に増えているという。重金属に汚染される「中国の土」を素材に作った土鍋の安全性は大丈夫なのでしょうか?・・・

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