2012年11月28日水曜日

光琳の松島


30年ぶりの再会を楽しみにしていた光琳の松島。
30年前は繰り返す曲線による波の表現がブリジットライリーのオプアートのようで目がくらんだことだけが記憶に残っているが、今回は岩にばかり目がゆく。

三つの岩の塊とその視点の違い。
明らかに左3曲と右2曲では視点が異なる。
波を隠すように金泥ではかれた左2曲上部の面は水平線の効果を与えて、左二つの岩の塊の視点を低い位置にする。
右2曲は崖の上から見下ろした遠景の岩崖で視点は高い位置にある。水平線は画面の上よりはみ出し、右上角でうねるように渦を巻く。
そして異なる視点を合体させる役目をはたす右から3番目の曲。
折れ曲がっていない図録の写真のように正面視でこの屏風を平面絵画として見ているだけだとつじつまが合わないような空間が、装置としての屏風を体感するように右端から、左端からと視点を変えて見ると、いっそうダイナミックな作用空間を現出させる。

光琳百図のモノクロの図版では岩の塊の位置によって右から左に向かってなだらかな遠近感があるような絵画的空間であるが、現物の屏風を目にすると真ん中の岩の塊が折れ曲がって見る者の方にせり出す山折の線と合体し(立体化し)一番手前にせり出している。
そして右の岩崖は谷折の線と合わさって奥へと後退する。
真ん中の岩からこちらに向かってくる遠近は見る者の視点を経由し、弧をえがくように右1曲と2曲の谷折りの線に向かって後退する。屏風が時計逆回転に回転するような錯覚にとらわれるのである。




「松島図屏風」 尾形光琳筆 6曲1隻 紙本着色 150.2 x 367.8 cm (屏風を開いた状態)
Fenollosa-Weld Collection  Photograph(C)2012 Museum of Fine Arts, Boston. all rights reserved.





2012年11月21日水曜日

Heihachiro's Ripples 03 ~平八郎の「漣」3

大阪市立近代美術館心斎橋分室に展示された「漣」は左のポストカードのように屏風を全開した状態で壁にはりつけられている。

しかし屏風は本来、畳間に少したたまれた状態で直立する。
その本来の状態でのインスタレートが平八郎の「漣」という装置とその作用空間を見る作法であるだろう。

180度に開かれた状態で見る時、それはタブローとして見る絵画である。
しかし、少したたまれた状態で畳に直立する時、中心線に向かって遠近が発生する。
開かれた時の図の奥行きは画面左上に向かってなだらかに後退するが、たたまれた時の奥行きは中心線で屈折する。

Heihachiro's Ripples 02 ~平八郎の「漣」2

平八郎が意図したかもしれない装置の作用空間を確認するために1/10のスケールモデルを作る。

美術教科書の印刷と絹本着色という説明だけで誤解していたこの作品を補完するために。

図版による黄色みがかった白っぽい地色は金箔の上に貼られたプラチナ箔の効果ではなく、撮影時に反射した色が映り込んでいるものであるだろう。
熱転写でプリントアウトしたものを裏側からシンナーで表面のマゼンダがかった青紫色を洗い落とし、地の部分にラッカーの銀色(アルミ粉)を塗る。

現物の地は強烈な銀色の反射効果はない。
そして岩群青で描かれた図は、吸い込みのある紙にマジックインキの青で描かれたように光を吸い込んだ青の図である。

Heihachiro's Ripples 01 ~平八郎の「漣」1



平八郎が意図したかもしれないことを期待して見に行った「漣」。
あぁ~なんということだ。屏風は180度に全開され、無残にも壁にはりつけにされている。
それもガラスケースの中で、トップライトを浴びながら。
図としての「絵画」を鑑賞しようとする近代美術館的展示。
はたしてこのインスタレーションは平八郎の装置の効果を伝えているか。
表現方法としての「インスタレーション」ばかりに気を配る昨今、ものを置く、設置するということがどういう効果を指向するか、本来の意味でのインスタレートがもっと考慮されるべきである。
そうすれば80年前に作られたものの現代的意味が絶えず現前し、目の前にたち表れるのだが。


http://www.city.osaka.lg.jp/yutoritomidori/page/0000166029.html


美術館を出、松屋町に向かって歩き末吉橋から東横堀川の漣を撮影する。
阪神高速1号環状線高架に反射する漣の効果。
この反射効果をアーティフィシャルに、住空間に、屏風に貼られたプラチナ箔と岩群青で平八郎は試みようとしたのではなかったか。

東横堀川末吉橋より見る

2012年11月19日月曜日

121119 天滴

 

121119 08:49


点滴



fb-橋本 公成
2012年11月19日


2012年11月5日月曜日

121104 今週の田辺

早朝の田辺 (付添い泊の東和病院前) 121104 06:24 

坪庭の杜鵑草 121104 11:02

121104 15:00 針中野
「針中野」地名の由来になった鍼灸院、平安時代より一子相伝。
INにでてきそうなたたずまい。

121104 15:14 大阪府立東住吉高等学校
何十年ぶりの母校。校内に立派な芸能文化実習棟。
高等学校初の芸能文化科を設立後'94年に建てられた。

今週のおばんざい(1) あげのたいたん、ゲソと小芋、小松菜
病院付添い泊の母のために 121104 22:26

今週のおばんざい(2) 鍋いっぱいの豚汁
病院付添い泊の母のために 121104 22:26

田辺の朝日(付添い泊の東和病院より) 2012年11月5日 7:10



父の入院は実家から徒歩数分の病院に。母は付添い泊で一か月半が経過。